経営に直接関係ないように見えることが、実は大きな効果を発揮することがあります。
有名な事例がトイレ掃除です。
売上目標から行動を逆算していたら、トイレ掃除の重要性に気づくことはないでしょう。
しかし実際に、ある会社でこんな変化が静かに起きていました。
トイレ掃除から始まった9つの変化
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社長の行動
- 1社長が誰よりも朝早く会社に来て、従業員が使うトイレ掃除をしている。
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社員が気づく
- 2「ずっとトイレが綺麗だ」と気づいていた人が、ある朝偶然、会社の駐車場に停まった社長の車を見かける。
- 3「社長がもう来ているなら」と、散らかった机で仕事を始める前に、急いでメール返信のタスクを終わらせようとトイレへ向かう。
- 4廊下でトイレから出てくる社長とすれ違い、「社長がトイレ掃除をしているのかもしれない」と気づく。
- 5「社長はこれまで何も言わないけれど、従業員の机が整頓されていないことに、内心では不満を感じていたのかもしれない」と思う。
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社内の文化が変わる
- 6机を整頓する文化が、誰に強制されるでもなく社内に広まり、従業員の業務中の集中力が高まる。
- 7自分の机が綺麗なことで、客室を見る「綺麗」の基準そのものが上がる。
- 8接客がより品のある対応になり、後輩はその背中を見て育つようになる。
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業績に表れる
- 9人材育成、採用費用の削減、お客様からの評判向上につながり、業績が向上した。
トイレ掃除をしていた社長が、ここまで考えていたとは思えません。
その社長は在るべき姿を行動に移していただけだと、私は考えます。
在るべき姿をただ行動に移す。その積み重ねが巡り巡って売上に変わっていく。
トイレ掃除はあくまで一例
トイレ掃除はあくまで一例です。
運動会を開催したら業績が良くなるという方もいますし、社員旅行はしないほうがいいという方もいます。
正解はおそらく会社の数だけあります。
経営者は会社の象徴です。
だからこそ、売上から逆算した行動ではなく在るべき姿から生まれた行動が、社員一人ひとりに伝わっていく。
売上から逆算する
- 売上目標を決める
- 目標に必要な行動を洗い出す
- トイレ掃除は候補にも上がらない
在るべき姿から始める
- 在るべき姿をそのまま行動に移す(例:トイレ掃除)
- 行動が社員一人ひとりに伝わっていく
- 積み重ねが巡り巡って売上に変わる
自分の会社の「トイレ掃除」を選ぶ
どの行動を選ぶかに迷ったら、次の3つを満たすものを1つだけ選んでみてください。誰にも頼まずに、自分ひとりで始められること。忙しい日でも毎日続けられる小ささであること。そして、お客様に届けたい姿とどこかでつながっていることです。
朝いちばんに来て入口を掃く、電話を必ず3コール以内に自分で取る、お客様からの手紙に自筆で返事を書く。立派な行動である必要はありません。大切にしているものが行動の形で毎日そこにある。そのことが社員に伝わります。
社長の行動は言葉より先に伝わる
社長はトイレ掃除をしていることを誰にも話していません。社員は自分で気づき、気づいたことで動き始めました。
経営者は会社の象徴です。社員は社長が何を言ったかより、社長が何をしているかを見ています。朝礼で「整理整頓をしましょう」と呼びかけても、社員には「会社の都合で言われたこと」として届きやすいものです。けれど、誰も見ていないところで社長がトイレを磨いていたと知ったとき、社員はそこに社長の本気を感じ取ります。
言葉にはどうしても話し手の都合がにじみます。行動にはそれがありません。だから行動は言葉より深く、長く伝わります。
ただし、社員が社長の行動に気づくまでには時間がかかります。トイレ掃除の話でも、最初に気づいたのは「ずっとトイレが綺麗だ」と感じていた人でした。毎日の積み重ねがあって初めて、ある朝の偶然が意味を持ちます。
在るべき姿はどこから見つけるか
「在るべき姿を行動に移す」と言われても、自分の会社の在るべき姿が何なのか、すぐには言葉にならないかもしれません。私は次の3つの場所から探すことをお勧めしています。
在るべき姿を探す場所
- お客様お客様がうちと関わったあと、どんな自分になっていただきたいか
- 判断利益が出ると分かっていても、断った仕事・引き受けなかった依頼
- 人他社を選べたのに、うちを選び続けているお客様と社員
お客様に届けたい姿から
お客様は商品やサービスそのものより、それを通してなれる自分を求めています。お客様がうちと関わったあと、どんな自分になっていただきたいか。その姿を思い浮かべると、会社の中で整えるべきものが見えてきます。
お客様に清潔で心地よい時間を届けたい会社なら、社員が毎日使う場所が荒れていてはいけません。トイレ掃除はその姿をいちばん身近な場所で行動にしたものとも言えます。
これまで「やらない」と決めてきたことから
創業から今日まで会社はたくさんの判断をしてきました。その中でも「やらない」と決めた判断に、その会社らしさが眠っています。利益が出ると分かっていても断った仕事、引き受けなかった依頼。なぜ断ったのかを振り返ると、社長が何を大切にしてきたかがはっきり浮かび上がります。
選び続けてくださる人から
会社の良さは中にいる人ほど見えなくなります。毎日くり返していることは当たり前になりすぎて、特別なことだと気づけないからです。
他社を選ぶこともできたのに、うちを選び続けてくださるお客様、辞めずに働き続けてくれている社員に、理由を尋ねてみてください。その答えの中に、在るべき姿の手がかりがあります。「うちの良いところは何ですか」と聞くより、「なぜ、ほかではなくうちなのですか」と聞くほうが、具体的な答えが返ってきます。
社員には「やりなさい」と言わない
在るべき姿が見えると、それを社員にも求めたくなります。けれど、トイレ掃除の話で社員の机が整っていったのは、誰にも強制されなかったからです。
もし社長が「明日から全員でトイレ掃除をしましょう」と号令をかけていたら、同じ変化は起きなかったと私は考えています。社員にとってトイレ掃除は「やらされる仕事」になり、社長が一人で続けていたときの意味は消えてしまいます。
社員の成長を義務にしないでください。社長がすることは、在るべき姿を自分で続けることと、社員がお客様に集中できる環境を整えることです。そのうえで、社員の中から自然に生まれた変化に気づいたら、見逃さずに「ありがとう」と伝えてください。
結果を急がない
トイレ掃除が業績につながるまでには9つの変化がありました。社員が気づき、自分の机を整え、接客が変わり、後輩がその背中を見て育つ。一つひとつに時間がかかります。1か月や2か月で数字に表れるものではありません。
効果を期待して行動を始めることには、気をつけてください。「トイレ掃除をすれば売上が上がるらしい」と始めた行動は、社員にもそう見えます。見返りを求めた行動からは、社長の本気は伝わりません。
在るべき姿の行動は効果を測るためにするものではありません。それが自分の会社らしいから続ける。その積み重ねを社員が見つけたとき、連鎖が静かに始まります。数字はそのずっと後からついてきます。
逆の連鎖も同じように静かに起きる
社長の行動が良い連鎖を生むのと同じように、良くない連鎖も静かに起きます。
社長が会議で売上の数字ばかりを話していれば、社員もお客様より数字を見るようになります。社長が約束の時間に遅れれば、社内の時間の感覚もゆるんでいきます。社長が誰かの陰口を口にすれば、社内に同じ空気が広がります。どれも社長が「そうしなさい」と言ったわけではありません。
だからこそ、社長は自分の行動を毎日確かめる必要があります。私が始業前の日報を続けているのもそのためです。
確かめるときは、できなかったことを責めるより、昨日の自分が在るべき姿に沿ってできた行動を1つ見つけるほうが続きます。私の日報にも「昨日自分で成長できたと思う部分」と「スタッフへの感謝」の欄を設けています。
在るべき姿を習慣にするために
その行動ができているかどうかを習慣化するために、私が始業前に必ず書いている日報があります。
かれこれ10年は書いていると思います。
私のおすすめは、朝の始業前に1回だけこの日報を記入すること。
夜や業務終了時に振り返りとして記入するほうがいい、という方もいます。ただ私は振り返りをすると、やりたいことがたくさん出てきて眠れなくなってしまうのです。
_月_日(_)行動スケジュール
- 3年未満に達成している短期的目標
- 昨日自分で成長できたと思う部分
- 今日改善すること
- スタッフへの感謝(書いたらすぐ伝える)
- 昨日一番嬉しかった・楽しかったこと
- 今日1日の成長テーマ
- 習慣化すること(できたこと・結果・結果の理由)
- 本日のタスク
- 9:00
- 11:00
- 13:00
- 15:00
- 17:00
- 19:00
- 21:00
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