大切な人に、最後に"本物"を
食べさせたのは、いつだろう。
舌の上でほどける、魚そのものの旨味。歯を、もちっと押し返す弾力。
ひと口で、その日のことまで、連れ戻してくれる味。
皿の上で、静かに、湯気を立てて。
箸を入れると、ふっ、と鼻に抜ける香り。
白い断面。とん、と弾く、歯ごたえ。
——この味が、食べたかった。
余計なものは、何ひとつ入っていない。
だから、いちばん守りたい口にも、まっすぐ、出せる。
受け取った手が、少し、うれしそうに揺れる。「こんな立派なもの」。
あなたが、その人をどれだけ想っているか——それが、そのまま伝わる。
大切な人に、"本物"を
出せる自分。
迷いも、言い訳も、いらない。
あなたが選んだ、たった一切れが、誰かの一日を、しあわせにする。
なんでもない毎日の食卓に。ときどき訪れる、特別な日に。
健やかな食が、あたたかい時間が、ふとした笑い声が——あなたと、あなたのまわりの人に、これからも、絶えることなく、続いていきますように。